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〈クラレポバール®〉 用途 農業
〈クラレポバール®〉
ポバール樹脂は一部の銘柄の水溶液状態において、本質的生分解性を示します。農業においてはポバール樹脂の特長を活かして数多くの使用実績があります。例えば、種子コーティング剤、肥料・農薬バインダー、土壌改良剤、農薬の展着剤などが代表的な用途です。
ポバールは「一斉に発芽し、病害虫のない健康な種子」をつくるための種子コーティング剤に使用されています。具体的には農薬や着色剤、その他薬剤等を含んだ種子コーティング加工において、バインダーおよび分散剤としてポバールが使用されています。また、良好な造膜性を活かし、製造時や輸送時における粉塵の低減目的にもポバール樹脂は使用されています。なお、種子に塗られたポバール樹脂は最終的には水に溶け土壌に放出されますが、本質的生分解性をもつため、他のプラスチック素材と比較し安全とされています[1]。
・水溶液下での本質的生分解性 ⇒ 環境対応
・接着性 ⇒ 農薬など薬剤の種子への定着
・分散性 ⇒ 均一に分散されたコーティング剤
・造膜性 ⇒ 輸送時や播種時の粉塵低減
[1]ポバールは水溶液の状態で本質的生分解性を持つとされている。
ポバール樹脂あるいは水溶液を土壌に混ぜ込むことで、土壌の通気性や水はけの向上が期待できます。ポバール樹脂は土壌粒子を集め、小さな塊状にすることで団粒構造を形成させる際に使用されます。この団粒構造によって形成された土壌の小さな隙間によって、保水性や保肥性の向上が期待でき、根の発育も促します。また、ポバールは本質的生分解性をもつため環境負荷の低い土壌改良剤として近年、再評価されています[1]。
・水溶液下での本質的生分解性 ⇒ 環境対応
・接着性 ⇒ 団粒構造の形成を促進
ポバールは肥料のバインダーとしても幅広く採用されています。高い接着・粘着力だけでなく、性状安定で環境負荷の低いポリマーであること、水溶液下で本質的生分解性をもち土壌で徐々に分解されていくこと、といった環境対応の側面からも評価されています。
・強い接着力 ⇒ 少量添加で高い効果、コスト面で優れる
・高い皮膜強度 ⇒ 輸送時にも肥料粒子が崩れにくい
・水に徐々に溶ける ⇒ 肥料の効果を長続きさせる
・性状安定 ⇒ 高い安全性
・本質的生分解性 ⇒ 環境対応
ポバールは展着剤の主成分として広く採用されています。農薬が雨によって流されたり、風によって飛散するのを防ぎ、植物の表面にしっかりと定着させる効果があります。これはポバールの優れた造膜性を活かした用途の一例となります。
・優れた造膜性
・本質的生分解性
ポバールは微生物の存在下かつ水溶液の状態で、本質的生分解性を示す数少ない樹脂の一つとして知られています。ただし、ポバールの生分解性は、その仕様や生分解条件によって影響を受けます。
近年ますます注目されているマイクロプラスチック問題。ポバールもプラスチックの一種であるためご懸念の方も多いと思います。しかし規制条項に基づいて当社で調査したところ、〈クラレポバール®〉の部分けん化物においては、合成ポリマー微粒子(マイクロプラスチック)の定義から除外されることが確認されています。詳しくは カタログ をご覧ください[2]。
[2] 欧州委員会 Regulation (EU) No. 2023/2055.